国連環境計画(UNEP)は、国連人間環境会議(1972年、ストックホルム)において、国連システムの中で人々が環境での良心を体現する機関として設立されました。
UNEPはその設立以来、環境保護と両立する経済成長を促すことを使命としてきました。UNEPのこの役割は、国連環境開発会議(地球サミット)(1992年、リオデジャネイロ)で大幅に強化され、持続可能な開発、すなわち「将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、現在のニーズを満たす開発」の推進が重要視されました1。
以来、UNEPは、産業界と密接に協力して環境マネジメント戦略を策定してきましたが、1990年代初頭には、金融サービス分野での前向きな組織との協力が開始しました。UNEPは、金融セクターが事業の健全性と収益性を維持しながら環境を保護するために、貴重な貢献ができると確信していました。それがUNEP FIのはじまりです。
UNEP FIの発足
UNEP金融イニシアティブのコンセプトは、1991年にドイツ銀行、HSBCホールディングス、ナットウエスト、カナダロイヤル銀行、ウェストパックなどの商業銀行の少人数グループがUNEPと協力して、銀行業界の環境問題への意識を活性化させることから始まりました。1992年5月、リオサミットに向けて、「環境と持続可能な開発に関する銀行のUNEP声明」がニューヨークで発表され、「銀行イニシアティブ」を結成されることになりました。
このイニシアティブは、国連環境計画の後援のもと、商業銀行、投資銀行、ベンチャーキャピタル、資産運用会社、多国間開発銀行および機関などの幅広い金融機関が参加し、経済発展と環境保護、持続可能な開発に関する建設的な対話を行ってきました。そして、金融セクターの業務やサービスのあらゆる側面に環境への配慮を組み込むことを推進してきました。さらに、環境に配慮した技術やサービスへの民間投資を促進することも目的としています。.
保険会社および投資家との関わり
1995年、UNEPは、General Accident、Gerling Global Re、National Provident、Storebrand、三井住友海上火災保険、Swiss Reなどの大手保険・再保険会社や年金基金と協力して、「保険業界による環境コミットメントに関するUNEP声明」を発表しました。この自発的なコミットメントでは、署名企業が、経済発展、人々の福祉、健全な環境のバランスを取ることを目指すことを誓っています。声明では、持続可能な開発と予防的な取り組みを原則としました。また、保険会社に対して、社内外の事業活動に環境への配慮を組み込むことを求めています。
1997年には、研究活動に資金を提供し、意識向上のための会議やワークショップ、イニシアティブの年次総会を後援するために、保険業界イニシアチブ(III)が設立されました。
イニシアティブ発足に向けて
同年、「環境と持続可能な開発に関する銀行の声明」は、より広い金融サービスセクターにアピールするために再度草案が作成されました。 この段階で、銀行イニシアティブは金融機関イニシアティブ(FII)に改称されました。
1999年からは、金融機関イニシアティブ(FII)と保険業界イニシアティブ(III)の双方が、相互に関心のある問題について、より密接に協力し合うようになり、UNEP FIの中核となるワーキンググループ(気候変動ワーキンググループ、アセットマネジャーワーキンググループ、環境マネジメント・報告ワーキンググループ)が形成されました。
UNEP FIの最初のグローバル・ラウンドテーブルは、フランクフルトにてFIIとIIIが共同で開催されてました(2000年)。
UNEP金融イニシアティブへの統合
2003年の年次総会(ジュネーブ)において、UNEP金融機関イニシアティブ(FII)とUNEP保険業界イニシアティブ(III)は合併し、UNEP金融イニシアティブとして知られる1つのイニシアティブを形成することに合意しました。両グループは、過去数年間にわたり、イニシアチブの作業プログラムや地域活動を通じて緊密に協力してきましたが、当時の正式な統合はそのプロセスの最終段階であり、事務局と運営委員会としても、すべての署名機関にとって付加価値のある統合的な作業プログラムを開発することができるようになりました。
イニシアティブは、UNEPの運営理事会、持続可能な開発委員会、そして生物多様性条約や気候変動枠組条約などの様々な環境条約を通じて、その活動が政府に認められ続けています。
UNEP金融イニシアティブには、現在40カ国以上から260以上の機関が加盟しています。
UNEP FIが設立されてからの持続可能な金融の進化と、その中でのUNEP FIの役割については、こちらのインタラクティブなタイムラインをご覧ください。
UNEP FIの責任者であるエリック・アッシャーが語る、四半世紀にわたる「チェンジング・ファイナンス」と「ファイナンシング・チェンジ」についてはこちらをご覧ください。
UNEP FIがメンバーとともに取り組んできたイニシアチブについては、こちらの年次報告書をご覧ください。